■はじめに
訃報は突然に訪れるものです。すぐに駆けつけることが出来ればそれに越したことはありませんが、どうしても都合が付かないこともあるのではないでしょうか。出産や結婚式などの慶事と重なってしまった場合や、式場が遠隔地にあり間に合わない場合など・・・さまざまなケースが考えられます。
あるいは、式が一通り済んだ後に訃報を知ることもあるかもしれませんね。お通夜やお葬式に参列できない場合には、お香典はどのようにすればよいのでしょうか。
■方法1:郵送する
1つ目は郵送する方法です。式に参加できない場合の渡し方としてはもっとも確実な方法のひとつです。実際にどのような手順で進めればよいのか、見てみましょう。
(1)不祝儀袋にお香典を入れます
これは式に持参するときと同じですね。新札を入れるのはマナー違反ですので、旧札を入れます。どうしても新札しかない場合には、折り目をつけるようにしましょう。
(2)お悔やみ状を作成します
お香典を郵送する際には、悲しみの気持ちと参列できなかった理由を伝える意味でお悔やみ状を添えるようにしましょう。ここで「別の方の訃報が重なってしまったため…」「飛行機のチケットがとれなかったため…」などと具体的な理由を述べるのではなく「やむを得ない事情により…」というようにぼかしておく方が良いでしょう。書式はお悔やみの言葉を文頭に置き、故人への思いや参列できなかった理由をつづり、合掌の一語で結ぶ形式がひとつの例です。一から文章を作る自信がなければ、インターネット上やマナー本の例文をアレンジするという手もあります。
(3)現金書留で郵送します
不祝儀袋とお悔やみ状を郵便局へ持ち込み、現金書留で送ります。ここで注意すべきなのは送付先の住所です。必ず喪主の自宅住所を指定します。うっかり葬儀場の住所へ送付してしまうと、最悪の場合は本人確認がとれずに戻ってきてしまうこともあります。お香典はお葬儀に間に合わせる必要はなく、確実に届くことが大切です。
具体的な送付の手順は先述のとおりですが、「いつ頃までに送ればよいの?」という疑問が出てくるかもしれません。できるだけ喪主や遺族に負担を掛けない時期を選びたいものです。お香典の性質を考えると、初七日前後までに届くとちょうど良いでしょう。遺族側はお香典返しの手配を考慮する場合が多いので、あまりに遅くなってしまうと余計な手間をとらせてしまいます。
■方法2:代理人に預ける
2つ目は代理人に預ける方法です。自分自身は参列できないものの、親交の深い知人が参列できる場合にはその人に預けて渡してもらうことが出来ます。お香典という非常に大切なものを預ける以上、その知人が本当に信頼できる間柄である場合にのみ考えられる方法です。また、自身の代わりに渡してもらうことになるので、目上の方にお願いするのは控えたほうが良いでしょう。
■方法3:後日訪問して手渡す
3つ目は自宅に訪問して手渡す方法です。故人との間柄によってはどうしても手渡しをしたい場合もあるでしょう。訪問する場合には、いくつか気をつけなければならないことがあります。
ポイント1:事前に連絡する
弔問に限ったことではありませんが、まず先方に了解を取りましょう。葬儀が終わったとはいえ、必要な手続やご近所周りに追われているかもしれません。
ポイント2:服装は地味な平服にする
葬儀に参列するわけではないので、喪服は避けるべきです。派手なものは控え、黒以外の地味な平服で伺うようにしましょう。
ポイント3:お香典の表書きに気をつける
通夜・葬儀に参列する場合のお香典の表書きは「御霊前」でほぼ間違いがありませんが、この場合は事情が異なります。49日以前なら「御霊前」、49日以後なら「御仏前」を使用することが一般的です。死者は死後しばらくは霊魂として存在し、49日を過ぎて成仏するといわれています。
※厳密なことをいえば、宗派によって異なります。たとえば、浄土真宗などの霊の存在を認めない宗派の場合は49日の前後にかかわらず「御仏前」が正式とされています。
直接自宅を訪問する場合も、遺族に配慮すれば失礼にはあたりません。また、この場合はお香典に限らずお線香やろうそくなどの実用品や故人の好物などを供物として持参するのも良いでしょう。
■おわりに
お葬式に参列できればそれが一番良いのですが、そうはならないこともしばしばあることと思います。しかし、そのような場合も適切な方法をとることが出来れば失礼にはあたりません。
お葬式は地域の色が非常に強いため、上記に紹介した方法以外にも地域特有の習わしがあるかもしれません。その場合はその土地のやり方に合わせる方が良いでしょう。