■連名を避けたほうがよい?
「お香典は連名は避けるべき」という意見があります。これにはお香典を出す側ではなく、受け取る側特有の事情があるためです。
一般的に、お香典は受け取ってそれっきりではなく「お香典返し」と呼ばれる返礼品を贈るものとされています。地域性はありますが、お香典金額の半額相当のお返しをする「半返し」がメジャーです。この場合は5,000円のお香典を受け取ったら、2,500円程度のお返しをするのです。
1人5,000円、2人で計1万円のお香典であれば特に問題はありません。それぞれに2,500円分のお返しをすれば済むからです。しかし1人2,000円、10人で計2万円のお香典だとどうでしょうか?ひとりひとりにお返しをする場合、送料も含めて考えると赤字になりかねません。では、代表者に贈るのはどうか。この場合は金額面はクリアしましたが、みんなで分けられるものを用意しなければなりません。
このように、連名でお香典を受け取った場合には
- 金額をいくらで設定するか
- 各々に贈るか、もしくは代表者に贈るか
- そもそも何を贈るか
といったことを考慮しなければならず、遺族に負担をかけることから連名は避けたほうが良いと言われるのです。
裏を返すと、上記のような点について遺族に配慮できれば連名でも差し支えありません。「1人2,000円、10人で計2万円」のような小額多人数の場合はお香典を辞退するほうがよいでしょう。
■連名の場合のお香典袋の書き方は?
表面の書き方
個人で書く場合は「御霊前」などの表書きの真下に書いておしまいですが、連名の場合はどうでしょうか。これは場合によって書き方が若干異なります。
夫婦の場合
「御霊前」の真下に夫の名前をフルネームで書き、その左側に妻の名前を書きます。中央に苗字だけを書き、その下の左側に夫の名前、右側に妻の名前を書く、というかたちでもOKです。
2~3名の連名の場合
右側に目上の人、左側に目下の人を書きます。下段中央にバランスよく氏名を書くようにします。
3名以上の場合
「御霊前」の真下に代表者のフルネームを書き、名前の左側に「外一同」あるいは「他一同」と書きます。この場合は代表者以外の名前は表面ではなく中袋に書くのが一般的です。
中袋の書き方
同居の夫婦の場合は個人の場合と同様と考えて差し支えありません。人数が多く住所もバラバラ、というような場合はひとりひとりの名前・住所・お香典金額を書いたリストを別紙で作成し、中袋に入れます。このリストは左側に目上の人、右側に目下の人がくるようにします。
故人と仕事関係でのお付き合いがあったような場合では、お香典を出した人のリストのほかに名刺を入れる場合もあります。故人の仕事での人間関係を遺族が把握していない可能性があることを考えての配慮です。
■受付での記帳の仕方は?
お香典を渡す場所は、斎場の受付が多いことと思います。係りの人にお香典を渡す前後に芳名帳に名前や住所を書くことになりますが、これはあくまでもお葬式の参列者の一覧ですので、参列した人の名前だけを書きます。
■お香典の金額について
お香典を連名で出す場合「端数は出ても良いのか?」と疑問に思われたことはないでしょうか。1人3000円、6人で連名とする場合は18000円となりますが、キリよく2万円にしたほうがよいのか・・・というお話です。連名にする場合は誰がいくら出したか明記することもあり、端数が出ても問題はないとされています。
端数よりも気をつけるべきなのは「4」「9」の「忌み数字」と呼ばれるものです。個人で出す場合でも言える事ですが、包む金額に「4」「9」という数字が含まれないようにすることがマナーとされています。「4」は「死」、「9」は「苦」に通じ、縁起が悪いということが理由のようです。
迷信といってしまえばそれまでですが、今のところはまだ残っている概念ですので、忌み数字は避けるほうが無難です。似たようなものとしては「友引」があります。カレンダーの日付のそばに先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口と書かれているものがあるのはご存知かと思います(六曜といいます)。このうち、友引の日はお葬式を避けるべき、といわれています。字面が「友が(あの世へ)引っ張っていかれる」ことを連想させるからです。しかしこれは中国語にルーツがあり、「友」が単なる当て字に過ぎないことがわかっています。
しかしながら気にしない人は気にしませんが、気にする人は気にするのが縁起というものです。連名でお香典を出す場合は個人の金額だけでなく、合計金額にも「4」「9」が含まれないようにする方が間違いはありません。