青森県の葬儀事情について。
東北の他の地域と同様、青森は火葬を通夜の前に「前火葬」を行っています。雪が深い地域の為、皆が集まるまでまず火葬を行うという説もあれば、その昔、夏頃に殿様が亡くなった時、葬儀の準備を行っている際に遺体が傷んでしまわぬように火葬を先に済ませたことがあったことから、通夜の前に火葬をすることが正しいと思われるようになったいう説もあります。
香典の額については、他の地域と同じく故人との親交の深さ、土地の慣習、故人の社会的地位等で異なります。
例えば両親の場合:5万から10万円。
兄弟:5万円程。
近所付き合いのあった人:3,000から5,000円。
親しい友人等:5,000から10,000円。
以上が相場となっています。
忌中の印「もがり」について
青森県では葬式を自宅でする際、忌中の印として長さ1.5mくらいの木の棒を2本十字になるよう折り重ねます。青森では門に×印にしたものを飾ることがあるのですが、それは「もがり」と呼ばれています。もがりというのは古代日本で行われていた儀式で、棺に故人を安置し、本葬までの間に死者となった者を慰め、共に生活する儀式、その場所のことをもがりといいます。そして青森県での「もがり」はその儀式から派生したものです。
骨壷に収めず、納骨する?
どこの地方も基本的には火葬場で収骨を行って、骨壷や骨箱に遺骨をおさめ、容器に入ったまま納骨されるというのが通常ですが、青森だと納骨する際に容器から遺骨を出して納骨する…なんとも独特な方法です。容器から遺骨を取り出してそのまま納骨するので「個」を保つことが出来ない方法ですが、土に還るといった意味では効率的な風習なのでしょう。
葬儀の司会について。
葬儀は厳粛な儀式ですから、葬儀の進行を担当する司会はとても重要と言えます。葬儀の司会はナレーションをするだけでなく、遺族の思いをきちんと形にする役割です。式を進行することについての打ち合わせは大きなポイントとなるので、細かいところまで遺族・葬儀社の担当者・導師しっかりと打ち合わせし、式の流れ・内容をチェックし、間違いのないようにします。
遺族は心を痛めていますから、打ち合わせの際にも言葉使い、気配りの仕方も変えるよう気を付けます。一流の司会者はそういったテクニックも持っているので、遺族が気にしてしまうような言葉使いを避け、きちんと気配りしています。遺族の方と話をする際、最も大事なのは「忍耐強さ」です。司会者は遺族の話、要望に口を挟んではいけません。ですから、忍耐強く話を聞く忍耐強さは重要となります。
司会者は遺族の代弁者でもある為、司会者の役割は話を「聞く」ことから始まるのです。また、正確な情報を限られた短い時間で聞きとらないといけないので、情報を間違えないよう注意する必要があります。トラブルに繋がりかねない為、情報を聞き間違えないよう気を付けましょう。司会者は美辞麗句を並べることより、遺族の方が会葬者に伝えたいことを表明することがプロとしての技と言えます。
葬儀のプロの司会は、普段の鍛錬が能力を高めることに繋がります。葬儀のナレーションは大きく分け「時系列型」「ポイント型」の二種類あります。
時系列型:故人となった方がいつ何処で生まれ、どんな人生だったのか時間を追って表現するナレーションを時系列型といいます。
ポイント型:故人となった方の人となりを示すためのエピソードを通じ、要点を絞って紹介するナレーションです。
どちらのナレーションも絵として表現された情景が浮かんでくるのが理想的となっているので、そこがプロの司会者としての腕を見せ場と言えます。プロとして本番で力を発揮するにはやはりい鍛錬が必須となります。声を前に出す練習の「腹式呼吸」、トーンを作る為に自分の声を録音したり、正しい姿勢ではっきりした発音が出る練習を積み重ねているのです。
そして司会で重要とされるのは声だけでなく、身だしなみも大切と言えます。人間の第一印象は服装・言動が重要なポイントですから、表情・メイクも含めて、司会者も知的で上品である必要があります。そして、葬儀司会のプロでも緊張することはあるものです。緊張した時はまず「深呼吸」で、通常は深呼吸をするのは空気を吸って吐くというものですが、司会のプロが緊張した時は逆に、息を吐いてから吸います。息を吐くことで腹部を空っぽにして、空けた分空気を入れることにより、声の通りがよくなると言われているからです。
深呼吸ともう1つのテクニックは、まず両手を挙げてから手首をぶらぶらするという単純な手首の運動で、この運動によって血流がよくなる為、緊張がほぐれるということになります。でも人目が気になるという場合、腕を下げた状態でも効果があるようなので、緊張した時はどちらかの方法を試してみましょう。