大きな数珠で行う「百万遍」という儀式がある?
宇都宮をはじめ、百万遍という儀式は栃木県内で広く見られる風習です。百万遍地域の隣組の組織が、遺族と一つの大きく長い数珠を一緒に手に持ったら念仏を唱え、念仏を唱える中数珠を繰り、そして横に回す儀式を「百万遍」といいます。この百万遍という風習は、遺族や参列者全員で念仏を唱えることによって、ありがたさが倍になるとされているのです。わかりやすく言いますと、20人で南無阿弥陀仏を1000回唱えれば、20000回唱えたということになって、故人をあの世へ旅立たせる為の「はなむけ」とされています。
時代が流れていくごとに百万遍を行うところは減少していってますから、特に都市部の方では百万遍の風習を省略していることが多いです。栃木の香典返しについてですが、栃木でも地域によって異なるケースがあります。一部の地域では、会葬お礼と一緒に3,000円程度の品を、当日返しするところもあります。他には、故人の友人知人、近所からと幅広く香典を贈られるところもあるので、地域性は知っておいた方がいいでしょう。
群馬県では子の人数分の位牌を作っている?
仏式だと亡くなった方の戒名を僧侶の方から頂いた位牌に刻んで、それを仏壇におくのがしきたりとなっています。故人の名を刻む位牌は供養する喪家の家に1つのみとされてるので、1件の家に位牌は1つだけとなります。そして群馬県の方だと、位牌を残された子供の人数分を作って、それぞれの家の仏壇に置くといった、少々変わった風習があるのです。
要するに、故人に子供が2人いた場合、2つの位牌を作るしきたりとなっているということになります。一般的に位牌を作るのは一件の家に1つとなっているので、他の地域からすれば不思議に思うしきたりだと思われるでしょうが、実は仏教の教えから考えてみれば、それほど不思議なことではありません。故人は位牌に宿っているわけではなく、位牌はあの世への窓口に繋がるようなものですから、その為窓口はいくつあってもいいと仰る僧侶の方もいらっしゃいます。例えて言えば位牌は電話の子機のようなものであり、親しみがわく風習とも言われているのです。
出棺の際、遺族がすることは?
群馬は葬儀の際小銭撒く風習があり、一部の地域では出棺する時に、参列者に向かって、遺族は半紙に包んだ小銭を撒くしきたりがあるので、撒き銭と呼ばれているのです。それから、誰の葬儀でも小銭を撒く風習というわけではありません。長生きしたご老人の葬儀を行う時にだけ撒き銭を行います。とはいっても時代の流れか、撒き銭を行う風習はだんだんと減少しているのです。
ちなみに参列者に向けて撒かれた撒き銭を拾い、自宅に持って帰れば長生きしたご老人にあやかり、自分も長寿をまっとう出来るとされています。もう1つ意味があり、銭を撒くことで周囲に故人の財産を分け与えるということになり、功徳を積んだとされる為、あの世で故人が良い思いを経験出来るようにいった願いがあるとも言われています。
でがの飯について
一部地域では告別式が済んだ後「でがの飯」または「でわの飯」と言われる一膳飯が回されるケースがあります。ちなみに「でがの飯」というのは、お椀のお米を一本の箸で少々手に取り、食べる真似をするといったならわしであり、遺族や参列者の全員で故人を共に見送る意味があるとされています。そして群馬の香典返しは、新生活運動がある地域だと、新生活運動によって香典の金額を少なくしているので、香典は1,000円から3,000円までであり、香典返しは辞退するといった形になりますから、自分の地域の香典は地域性があるかどうかよく調べておきましょう。
埼玉の葬儀事情について
埼玉の、秩父等の地域だと通夜の一般的な香典袋だけでなく、紅白の水引をかけたいわゆる「お見舞い」の表書きを使用した袋を準備している場合があるのです。そういった風習はあちこちにあるものではないので、この風習を初めて見た他の地域の人は驚き、風習を知らないまま喪主になった際困惑する方もいるでしょう。紅白の水引をかけているのはめでたいと思っているわけではありません。
紅白には意味があり、故人の方が入院していたり病などで亡くなった際、「入院中にお見舞いに行くことが出来ず、今頃になってしまい申し訳ないのですが、どうか受け取って下さい」という、遺族に対する気遣いの意味が込められた見舞金を通夜の時に渡すものです。ちなみに香典についてですが、会社として香典を出す場合は、一般的と同じく香典の他に生花も出し、供花は2基、香典は10,000円からとなります。