大阪の香典袋について
大阪府など関西圏では香典袋は黄白の水引をかけるのが一般的とされています。ですから、関西以外の地方から来た人は驚く方も少なくありません。今の時代でも黄白の水引は関西にしかない風習となっています。
香典についてですが、大阪郊外では配偶者の家族に10万円程包むところがあります。故人との関係によって10万円包むのは常識なところがあるので、いくら包んでも大丈夫か知っておきましょう。
精進料理の切り方について
精進料理を作る時、欠かせない材料である高野豆腐や厚揚げですが、大阪府ではこちらの材料を葬儀の時に切る際は、四角ではなく三角形に切って調理するようにしています。何故切り方を通常と変えるのか、それは四角の「四」が死と繋がる為、四角を三角に変えることで、死と日常を切り離したいという「逆さ事」の一種とされているのです。
逆さ事についてですが、他に屏風を逆さにして立てかけるといった「逆さ屏風」、ぬるま湯を作る際、お湯を水に入れて出来る「逆さ水」があり、意識的に通常の暮らしを区切り、非日常と分離させる為にこの逆さ事という風習が行われています。
友引の葬儀で「いちま人形」を入れる?
大阪府で友引の日に葬儀が行われる場合、「いちま人形」といわれる人形を棺の中に入れる風習があります。友引は「勝負なし 共に退く」といった意味があり、その意味が「友を死者がひいていく」となり「友を死者が連れて行ってしまう為、死人が増えてしまう」そういう意味に変わってしまいました。
いつの間にかそういう意味に転じただけで迷信なのですが、その意味を知ると良い気持ちではありません。ですから、友引の日に葬儀を行う場合、「いちま人形」「供人形」という、人間の身代わりになるものを棺に入れる風習が今でもあるのです。
奈良県にある「垣内」という組織について
奈良県は10件くらいの家が一単位となり、「垣内」という近隣組織があるのですが、その垣内といわれる近隣組織は、他の地域の組織同様、通夜や葬儀をする際、手伝いをしてくれるのです。
全国的で言えばこういった組織は「隣組」や「講」と呼ばれていますが、地域によってその組織の呼び方は異なります。ですから、奈良ではその組織を「垣内」と呼んでいます。具体的に垣内は遺族に代わり、参列者の接待、受付などをし、遺族の負担を少しでも減らすようお手伝いしています。
内位牌と野位牌という2つの位牌を用意する?
枕飾りを設置する時、奈良県では「内位牌」「野位牌」と言われる位牌を用意される場合があります。「内位牌」という位牌は一般的なお葬式で使用される白木の位牌ですが、「野位牌」は土葬が行われていた昔の時代で墓を置く為の位牌でした。
内位牌と野位牌の2つの位牌を置くのは、僧侶の方曰く現世からあの世への窓口みたいなものですから、位牌をいくつ置いても大丈夫と言われているので、電話の子機のような感覚で、当たり前のように位牌を2つ置いています。
茶碗割りの儀式と門火が行われる
奈良県の各地である儀式が行われています。それは出棺する際、故人の使っていた茶碗を遺族が割るという「茶碗割りの儀式」です。茶碗割りの儀式を行う際、藁を燃やす「門火」を焚くこともあります。ちなみに茶碗割りの儀式の意味ですが、故人の茶碗を割ることで「貴方の使用していた物は壊してしまったので、もうここは帰ってくるところではないですよ」といった意味があり、要は故人が現世での未練をすっぱりと絶って冥府へ行けますようにと願いが込められているのです。
涙を流す為に出されるものは?
三重県は精進落しの際に「出立ちの膳」と言われる、最後に故人と囲むお膳としてシンプルな精進料理を食べます。精進料理を食べる時、三重県の一部の地域では、かつおだし・胡椒で作った胡椒汁が出ることもあるのです。この汁は別名で涙汁とも言われており、とても辛いことから涙を流すといった意味と、急な出来事・悲しみによる遺族の疲れをとるためと考えられています。
三重に村香典という風習がある
三重県の名張市では「村香典」という風習があります。村香典とは近隣・組の人達が1,000から3,000円と一定額の香典を持参し、お供えするといった風習を村香典と言います。地域で決められていることなので、故人と知り合いでなくても香典を持っていきます。これは相互扶助の意識がその地域に根付いている為とされています。