和歌山県では、友引の他に三隣亡の日も葬式を避ける
友引は、死者に友を引き連れて行かれてしまうと意味にされ、迷信といえどこの友引を沢山の地域が避けるようになり、葬式を行う際友引の日は避けられ、大抵は友引の日は火葬場は休業となっています。和歌山県だと葬式を避けているのは友引の日だけでなく、暦注の「三隣亡(さんりんぼう)」の日も葬式を避けている地域が多いとされているのです。三隣亡というのは「三軒隣まで亡ぼす」といった意味であり、三隣亡の日は大凶とされ、三隣亡で建設に関わる作業をすると災いが起きると言われています。ですから、葬式とは関係ないように思えますが、この災いが起きる日という怖い印象によって、建設作業と関係なくても、避けるようになったと考えられています。
扇子を破って投げるといった風習を行う
和装の喪服は「不祝儀用の扇子」を携えたりしますが、祝い事ではないので扇子を開くことは絶対にありません。そして葬式が済んだ後、不幸が二度と訪れないよう、その場で扇子を捨てるのが決まり事とされています。和歌山県では出棺する時に茶碗を割って、そして藁を燃やす時、それと同時に扇子を破り、屋根に向かって投げるのが和歌山での風習で、今でもその風習が残っているところがあります。香典の方は、以前は香典を全く受け取らないところが多いと言われてきましたが、時代の流れなのか、今では香典を辞退せずに受け取る場合が増えてきたとさてています。
還骨勤行を営んだら女性が歌を詠う?
葬式が済んだら、後飾りの祭壇に遺骨を安置して、そうしたら我が家に遺骨を迎え入れる「還骨勤行(かんこつごんぎょう)」を営むのですが、還骨勤行を営む際、「講」と言われる地域組織に所属する高齢の女性達が集まって、和歌を詠うケースがあります。その和歌は「御詠歌」といい、それぞれ宗派があり、同じ宗派でも流派が分かれていたりと色々種類があるのです。詠う際流派によって、仏具の鈴、雅楽で使われる金属の打楽器・鉦鼓(しょうこ)が使われます。還骨勤行が済んだその後に精進落しの膳を囲むのがしきたりとなっています。
岡山県で通夜は「夜伽」と言われている
一般的に通夜は通夜と言いますが、岡山では通夜のことを「夜伽(よとぎ)」と言う場合があります。そして一部地域で「伽(とぎ)」とも言われることもあるのです。「夜伽」は故人の隣で、夜通し起きたままの状態で過ごす意味なので、故人が寂しくならずにすむよう夜を共にします。
出棺前に出る「立飯」という膳について
出棺する前、岡山である行事なのですが、故人と最後の膳を囲むといった風習があります。その風習は「立飯(たちは)」といいます。「立飯」という風習ですが、これは美作地方の一部だと、生米や塩を食べるふりを喪主と僧侶の方が行うこともあり、その風習が済んだ後、出棺をする際西日本で多い風習と言われる、故人の茶碗を割る風習が行われます。
それから、火葬をする当日に納骨をする場合、小さな7本の塔婆を準備して、四十九日迄の7日間事の供養として、塔婆を一本ずつ立てる「七本塔婆」と言われる風習も残っています。他にも放生の儀式という風習があり、農村部などで、故人の子供・孫が空に捕まった鳥を放したり、池や川などに捕まった魚を逃がしてやるといったものです。仏教の儀式から派生したものであり、生き物を助けることによって故人が少しでもいい気持になれるようにといった意味があるとされています。
広島県の風習について
出棺する際に「茶碗割り」という、故人が使用していた茶碗を割る風習がありますが、安芸のように浄土真宗の門徒が多くいるところではあまり行われていない風習です。
白いさらし布を位牌にかぶせる風習がある
故人の戒名が書かれた白木の位牌に、備後地方の一部の禅宗の家だと白いさらし布で作られた覆いをかぶせて、その白い布を少しずつすりあげるという珍しい風習が広島県の一部の地域であるのです。
酉の日は避けている
迷信とはいえよくない意味とされる「友引」は葬儀を行う日から避けられており、それが一般的なのですが広島県だと「酉の日(とりのひ)」も葬儀を行う日から避けられていると言われています。昔から酉の日は「この日に田植えをしては駄目」と言われているのもあって、特に農村部では縁起がよくない印象が強くなった為、友引と同様葬儀を行うのも避けられるようになったと考えられます。