昔の香典はお米
元々香典は仏事において香を供えることから、昔は香典は故人にお供えする為の香料を金銭、もしくば物品を差し出していました。香典は今の時代だと、お金を包んで遺族の方に渡しているのが一般的ですが、昔はお金より葬儀で必要とされる食品が多く、最もお米を供えることが一般的となっていました。
そして故人となった方と近しい方、親族など含め香典の金額が上がります。それも米・食品も同じく、近しい方であればある程、お供えするものが多いとされていました。お米は地域によって米俵でお供えするところもあったと言われています。
中でも、故人となった方の子供は現金だけでなく、他にもお米二俵、故人の兄弟の場合は米一俵と多くのお米をお供えしていたのです。祭壇の脇等に俵を飾ったりし、喪家の偉容を誇ったりもしていました。昔の葬儀は多くの人手がいるものだった為、食品の調達も重要とされるものでした。
お香典として米やお金がお供えされたことで葬儀を支えていた為、喪家にもしお金に余裕がなくても葬儀を行うことが出来ていました。お供えされた香典は、同じようにお返しをすることが期待される為、香典帳は大事に保存され、今の時代は香典返しをする為使われています。昔の時代は香典に対してのお礼は、参列した方の不幸の際香典を渡していたので、昔はまだ香典返しというものは行われていませんでした。
しかし、時代の流れによって、参列者側に香典を贈ることになった際、こちらが貰った時と同じくらいのお返しをすることが難しかったり等で、香典をもらったままでお返しが出来てない…というケースもありました。こういったこともあり、そのような事にならないためにも香典は少しずつ変わっていき、「香典返し」というものが誕生したのです。ただ貰った金額をそのまま返すのは好意を台無しにしてしまうとされる為、「半返し」といった形になったと言われています。
香典の新生活について。
第二次世界大戦が昭和20年から30年代にかけて終わってすぐのこと、「新生活運動」とよばれる住民運動がそれぞれの地域で拡大していました。新生活運動が始まった要因は、敗戦したばかりの時は経済的に貧困だったので、この頃に葬儀を行う際、香典返しをするのは経済的にとても負担になる為この運動が始まりました。
「新生活運動」の内容についてご紹介します。
●葬式の香典は金額を減らし、香典返しは辞退するようにして下さい。
●お膳や会食の金額に制限をかける。
●生花や盛篭は2対までにすること。
●公共の施設で結婚式を行う事。
と、このような内容です。地域によって少し違うところもあったとされていますが、要は生活の無駄・見栄をなくすことで形式的な礼儀はひとまずやめて生活を短縮化し、経費を削減することにも努めようといわれていたのが「新生活」の意味になります。ですが、貧困な状況から時代が流れるにつれて経済的に高度な成長をしていった為、「新生活運動」はだんだんと忘れられていったのです。
しかし、今の時代でも関東の北部で新生活運動が残っているところもあり、地方自治体単位で運動を推進しているところもあります。香典を新生活の受付で渡す際は新生活運動の趣旨に同意して、香典返しを辞退することを記名した袋を使いましょう。 新生活として差し出す香典についてですが、地域によって金額が異なります。新生活運動がまだ残っている地域の近隣は一律500円と決まっているところもあります。
葬儀に関するマナーの情報収集について
今の時代はインターネットが普及している為、わからないことがあればすぐインターネットで検索して解決できます。ですから、葬儀に関するマナーもわからないことがあれば検索サイトを使ってすぐ疑問を解決することが可能です。とはいえ、葬儀というのは昔からの決まり事やマナーなどが強く残っているものですから、特に田舎であればある程マナーや決まり事が濃く残っています。
葬儀は年齢順にとり行い、年齢順に行うのが通常です。ですから、若者は葬儀のマナーは年配者をよく見て覚えて、また次の世代へ…と繋がれていきました。ですが都市部となると、現在は密葬・家族葬が増えている傾向にある為、近隣との繋がりが薄れているようです。
もしわからない事があっても、葬儀社に聞けば解決しますし、葬儀で必要な世話係も式場で簡単な手伝いで済むのもあり、葬儀に詳しいという方も少なくなっているといわれています。葬儀の段取りをよく知らなくても、その地域の風習、マナーに関しては最低限でも調べ、しっかり覚えておきましょう。インターネットを利用して調べるのもいいですが、マナー本を持っておくのも一つの手と言えます。また、年配者が身内や近所にいる場合、要点を尋ねておくことも役立つはずです。年配者のアドバイスは現に体験しているのもあり、最も参考になるでしょう。